私達が習ってきた大学の授業では、前から4番目の歯(第一小臼歯)を上下合わせて4本抜く矯正歯科治療がスタンダードでした。
ですが、アメリカでは非抜歯矯正歯科治療(歯を抜かない矯正歯科治療)はすでに当たり前の治療になっています。

 

矯正歯科治療は、『まず大学の授業だけで簡単にできるのか?』というと、大学の授業は広く浅くしかおこなっていないので、大学で矯正の授業を受けたからと言って矯正歯科専門医になるとか、矯正歯科を専門に治療をおこなうというのは無理なことなのです。

 

大半の先生方は、卒後に大学病院の矯正の医局に残って学ぶ、もしくは開業医の先生が開くセミナーを受けて矯正歯科治療を習得するといったことが大まかな流れです。ですが、良いか悪いかを別として、日本では学派ごとに凄く見解が分かれていて、抜歯する先生はとにかく抜歯だと言い、非抜歯の先生は詐欺師だというくらい固執してしまうところがあります。

 

私が最初に教わった都内の先生もやはり抜歯専門のスタンダードな矯正歯科治療をおこなう先生で、大学を出てから3年間その先生に付いて矯正治療の『イ・ロ・ハ』を教わったのですが、とにかくキレイな歯並びにするなら抜歯が必要だと、非抜歯矯正のセミナーを受けるようなら破門だと、すごく面白い先生なのですが、ひとつの手法に執着してしまうのは、この歯科業界の悪いところでもあるのです。これは矯正歯科治療に関わらず歯科治療全般に言えることなのですが、ケースバイケースで治療手法(アプローチ方法)は変わるのです。

 

何でこのようなことが起きるのでしょう?

 

矯正歯科治療は自分が固執したテクニックで治療を確立している色合いが特に強いので、新しい技術をスムーズに取り入れることがなかなか難しいのです。

 

例えば、非常に突出した出っ歯の患者さんであれば抜歯というのが必要不可欠だと思います。ですが、大切なのはその患者さんがどこまで希望するか、どのレベルまでの治療を求めるかによって変わってきます。

もちろん歯を抜けばキレイな歯並びにはなりますが、でも、大事な4本の未処置のキレイな歯を抜いてまで矯正治療をしたくない。

その場合、抜かないでどこまで改善するのか、抜いたらどこまで改善するのか、色々考慮しておこなっていくと、私のクリニックにお越し頂いた方は、他医院で抜歯が必要と言われたケースでも、非抜歯で矯正治療をおこなって、多くの患者さんに大変満足して頂いています。

 

非抜歯矯正歯科治療のメリットとしては、歯をいきなり抜くのではないので、後から抜歯をして矯正歯科治療をおこなうこともできるのです。

このことからもファーストチョイスとして抜歯をおこなうという治療は無いと私は考えています。
また抜歯をした場合、歯のアーチが歯を抜いた分小さくなることから、咀嚼の問題や発音障害の危険性も抑えることができます。そして何よりも治療期間が比較的短くて済むということと、治療後の後戻りが少なくて済むということが挙げられます。

以上のことからも非抜歯矯正歯科治療を当クリニックでは選択し実施しております。